7 騎馬旅行-5

奇更に奇幽更に幽

北漢江の上流を渡った。水勢多く、河身屈折し、両岸に屹立する岩石のありさまは、あたかもハドソン川の玄武岩付近を逍遥している趣がある。
私は領事カール氏がかつて記した溶岩の広野も通過した。この広野は自然に高台を作り、広さ30マイルと40マイルにわたるとされている。
広野の縁は、巨人が削ったような断崖で、断崖の裾は漢江の清水に洗われている。高台は河の水面から60ないし100フィート飛び出している。
これを支えている玄武岩は角柱の形をしていて、轟々と立ち、旅人の肝を冷やす。 溶岩は、多くは集塊性粘土または硬性粘土を以て覆われているが、極めて浅い川床は溶岩の巨大な頭が隆起して川水を堰きたて、下にはながさじと構えているかの感がある。
かくしてこの辺りはコメの耕作には勿論適さぬ。ただわずかに燕麦、黍、豆の類が少しばかり植えられているに過ぎない。
周囲の光景はしばらく変化に富み、眺めは益々麗しくなった。峰は森林に覆われ、森林は落葉かきの災を免れ得たととりどりの花に飾られている。
暗灰色の岩石を押し分けて流れる水は泡を飛ばし、ますます荘厳を加え、自然の力に偉大なる表現となっている。
点在する小さな耕地と小さな家々とは更に威興をひく種となる。

馬子も歌う

進めば進むほどに道は狭くなり、幽谷更に幽蒙を加え、奇山一段と奇抜となる。
こうなれば、ものの哀れも知らぬ馬子すら愉快そうに歌い、歌っては馬を追う。
渓水に馬の脚を洗うべき所は段々に多くかつ深くなり、そこには小鮎さええたちまち散りながら集まり泳いでいる。
この自然の静かなるがごとく、静かに無言のわが馬を急がせる。

最終更新日: 2013-12-15 17:52:21

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