6 自然の美-2

永春のお役所訪問

永春に着いた。両岸の風景は相変わらず飽きぬ眺めであった。
お役所に行く。本館はなかなか大きな建物で、門のくぐった正面にどっしりと落ち着いている。 門には太鼓が据えられていた。日の出と日没時にこれを鳴らして衛門の開閉を教えるのである。
役所内には天神地神をまつる祭壇と孔子廟があった。手入れが行き届かずに草茫々で、見る影はなかった。

 
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金剛山への道を問う

私が永春到着後早々に役所を訪ねたのは、実はこれから金剛山に登ろうと思ってその道筋を教わりに行ったのである。

かわいいのは百姓、に悔いは官吏

朝鮮でかわいいのは百姓で、癪に障るのは官吏である。官吏はことごとく両班で因習的に傲慢無頼のやからで構成されている。
彼らがいるために朝鮮は衰退し外国から誤解を招き古来の文化が衰退する。
朝鮮を毒するのは彼らで、朝鮮の運命を谷底へ蹴落としてゆくのも彼らにほかならぬ。
私はまず慇懃に来意を通じて役所の敷地内に進んだ。 ところが私に応接した下級の官吏の奴、横柄というか剣突というか、礼というものを知らぬ。
私はこの男のためにだいぶ待たされ、ついて役所内の一室に案内された。 その部屋たるや、不潔千万、豚小屋同然、いやしくも官庁にてこのような不快な場所は、朝鮮以外にはめったになかろうと思う。

大いに尊大ぶる

そこで私に面会してくれた官吏もまた、ものを知らない。いたずらに嗅い煙草を孵化しながら尊大ぶり、私を無作法に取り扱った。
私はその官吏と同席することを許されず、次の間に下って来意を告げ、金剛山へ行くべき道を教えてもらったところが、 傍らに控えたところが傍らに控えた下役に顎でしゃくって簡単極まる返事をさせた。
その間、他の役人たちは私をつついてみたり、引っ張ってみたり、実に言語道断な無礼を働いた。
官吏、両班、彼らに力のある間は、朝鮮が浮かぶことはあるまいと情けなく思う。
これが私が朝鮮の官庁を訪問した最初であり最後であった。
私は生意気な一官僚に導かれて役所を辞し、元来た道を引き返した。 無知な群集は私どもを取り巻いて嘲笑悪罵の限りをつくした。

暴漢に襲われる

その中の一暴漢は、後ろから私の腰をいやというほど蹴った。私が抵抗しないと見てとると今度は前に廻って再び私を土足にかけた。
見かねたミラー君は第3蹴の準備をしている悪漢の横面に一撃を加えると、周囲から怒りと笑いの声がわっと湧きあがった。
従者の鮮人は、ミラー君に暴力沙汰の危険を説き、穏便に済ませるように嘆願した。
船に帰るまでの間に、ミラー君は国際問題として暴漢の処罰を要求すべきだと力説した。 なるほどミラー君のいう通り、一種のリンチすなわち不法な私刑であるかもしれぬ。

最終更新日: 2013-12-03 05:52:20

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