3 京城入り-4

清渓川

市内の中心を西より東に流れる下水道は市中の汚水を城外へ排出している。
そのため、下水道の泥は真っ黒に長年の汚水に染められ、悪臭を空中に放って旅人を悩ませている。

婦人の洗濯場

しかし、この下水がいかに不潔だからといって、退けるわけにはいかないのは、ここでたくさんの京城の婦人たちを見ることができるからだ。

 
広告

生活に疲れ、生気を失った男たちの都と思いきや、ここには数百の婦人が集まって、淡緑の服をうちかつぎ、 洗濯に勤しんでいる。その姿は湖北の野に花を見る心地がしてうれしい。
下水道での洗濯だからといって、あまり笑ってはいけない。洗濯棒を振りかざす風景はあまり優美ではないにしろ、 なかなか甲斐甲斐しいと褒めるべきである。
夜になると洗濯の音城内に満ち、東洋の詩人がこれに涙を流すそうな。

南山から見た京城

京城は四面山に囲まれていることは既に記した。その四山の麓がなだらかに傾斜して長さ五マイル幅三マイルの盆地を作り、 人口25万人の都が建設されている。
南山に登ってみると一五平方マイルの野は、まさに暗灰色の屋根の海である。樹木なし、森林広場もなければ公園もない。
単調平凡只一面の死灰の如き姿である。
この平原の隅々に立つ二層の楼は関門である。石垣のある建物は宮殿。東西の道は鐘路南にあるのは南大門へ通じる道である。
動いているのは男子、吠えるは犬。そしてその外には何もなく、無人の荒野に立っているかの如くである。

鐘路の鐘の音

既に記した鐘路の大鐘が夜八時頃に重々しく鳴り響くと、今まで辻を占領していた男たちは悉く姿をけし、 代わって町は女のものと早変わりする。
往来はみな女ばかり。彼女らは初めて一日の束縛から逃れ、宇宙の広さを楽しみ、熱き友情を酌み交わすのである。
この時刻、男子で通行を許されるのは、盲人、官吏、外国人、興丁くらいなものである。
12時頃、再び鐘が鳴ると、女は家に帰り、代わって男が夜の享楽を求めて出かけてゆく。
この社会制度は堅く守られていて、一人もこれに背かない。世界でも珍しい習慣だと思う。

最終更新日: 2013-11-25 05:00:07

このエントリーをはてなブックマークに追加
広告

朝鮮の本

二十五年!朝鮮は何を得たか?

  第11 通信
  第10 貿易
  第9 商業
  第8 経済
  第7 金融
  第5 租税
  第4 財政
  第3 朝鮮総督府
  第2 朝鮮の戸数と人口
  第1 朝鮮は変わった

30年前の朝鮮

  8 金剛山登り-2
  8 金剛山登り-1
  7 騎馬旅行-5
  7 騎馬旅行-4
  7 騎馬旅行-3
  7 騎馬旅行-2
  7 騎馬旅行-1
  6 自然の美-3
  6 自然の美-2
  6 自然の美-1
  5 漢江上り-3
  5 漢江上り-2
  5 漢江上り-1
  4 漢江探検の準備
  3 京城入り-4
  3 京城入り-3
  3 京城入り-2
  3 京城入り-1
  2 朝鮮最初の印象 2/2
  2 朝鮮最初の印象1/2
  1 はしがき2/2
  1 はしがき1/2

 RSS