3 京城入り-3

日本の居留地

南山の中腹に木造白塗りの建物としてはあまり感心できない日本公使館がある。
その麓は日本人居留地で、約五千人の日本人が小さな天地を作っている。
料理店や劇場もある。朝鮮人の町と反対に清潔でよく整っていて気持ちがよい。
例の日本服に帯を締めて、男も女も下駄をはき、カラコロとみな忙しそうにしている。
憲兵が居留地を護衛している。海外駐屯部隊もいる。細身のサーベルを佩びているのは士官である。
ただし、これら日本人居留民は朝鮮人の憎しみを受けること甚だしく、明治15年以来2回も暴徒の襲撃をうけ、公使館員は海へ逃げたほどであった。

 
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現在の公使館は私の最初に朝鮮に来たおり、すなわち大鳥公使の時代にできたものである。
大鳥公使は白髭を胸まで伸ばし、京城の交際社会によく出入りされている。寡黙で物柔らかな老人で、 少しも鋼鉄のごとき意思を抱いておられる方とは思われぬ。
なお、日本人街には銀行、郵便局があり、深く外人の信用を受けている。

中国人街と袁世凱

中国人街は人口で日本人街と伯仲している。外国人はここで買い物をする。
中国人街と関連して特記すべきはその主人、袁世凱氏である。
袁氏は「王権の上に王権あり」と称せらるる中国の朝鮮に対する宗主権を代表して臨んでおり、 国王の前に勝手に出てきて勝手に振る舞っている、との話である。
中国公使館は、いわば袁世凱氏一人のものである。

虎の威をかる

大門を堅く閉ざし、扉の上には守護神を描き、門内には大履擔を接し、物々しく武装した兵士が常に王宮と 衛門との間を往来して警戒の任に当たり、朝鮮の人々に清国の尊厳と袁世凱氏の威光を見せつけている。
私個人の意見では、袁世凱氏など、単に軍の威をかる一回の中国人にすぎない。彼は事実上、中国人の殺生興奪 の権をもち、刑罰を加えること実に野蛮。清国朝鮮人ともに彼を恐れること甚だしい。

最終更新日: 2013-11-20 05:09:51

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