1 はしがき2/2

在留外国人

在留外国人は早計11318名で、そのうち10711名は日本人である。外国人の経営する商館は266。うち230は日本人の経営による。
フランス人、アメリカ人のほとんどは教会に属する人である。京城にあるフランス教会堂とアメリカメソヂスト教会堂厳然として聳え、京城を俯瞰する風情がある。
イギリス人の数は65名。
清国人は2500人、その多くは京城と仁川に居住するようである。
最近郵便制度が開かれ、新式に則って4種の印紙が発行された。
電信も開通した。ようやく京城は世界中と通信ができるようになったのである。

道路はお話にならぬ

道路いいたってはお話にならぬ。主要道と称する道がすでに体裁をなしていない。
馬と人とが自然に踏み鳴らしたでこぼこ道、それも運送全然使用せず。ただ人肩馬背で往来する住民には指して不便と思わぬようだ。
将来は京仁鉄道がアメリカ資本にて開通するそうだから、開通の暁には交通革命をもたらすであろうと思う。

ハングルを卑しむ

朝鮮人は自己固有のハングル文字を軽蔑して、漢字のみ尊重するからおかしな国民である。 政府の公文書はもちろん、普通の往復文にも、会話の間にも努めて漢字を模倣使用し、国粋とも称すべき語学上もっとも発達しハングル文字は 婦人子供または下級社会の使用するものと決め込んでいる。
ところが、1895年に新しい試みが官報に出された。漢文とハングルを混合した文章...日本のかな交じり文のような体裁にして刊行したのである。
その後、朝鮮の独立および改革を宣言した勅語が純漢文、純ハングルおよび混合文で発布された。
以来、ハングル使用の気運は高まっており、漢文は諸外国に対する公文書のみとなっている。

ハングル使用は破天荒の試み

ハングルの使用は朝鮮にとってはもっとも破天荒な試みの一つであった。
たとえば、官吏資格試験に漢文を廃してから人材登用の途が新たに開かれ、新聞がさっそくこれを採用したから、知識の普及が迅速となり、 各教会がその聖書を写すのにハングルを使ったから、多数の国民が直接神の声を聞いて信仰の途に入ることとなり、 西洋の科学文学書がハングル文に翻訳されて無教育な者も世界の事情を知ることができるようになった。
実にハングル文の功徳は広大無辺で、一方から見れば朝鮮を覚醒させる唯一の手段であったろう。

宗教というものはない

信仰のたぐいは全く消え果て、信仰の立場から見れば朝鮮人は誠に憐れむべき境遇にいる。
国教は儒教、社会道徳は孔孟の教えが維持されているが、いまだ信仰問題に触れていない。
昔は仏教が多いに興隆したが、300年来僧侶は4賎の中に数えられて3界の指導者たるべき身分にありながら山奥に追い込まれ、 年々無気力となり、無学者となり、もとより俗社会に何の威厳も持っていない。
最近もっとも流行しているのは巫女の祈祷である。上下階級みなその迷信に支配されている。
アメリカその他の手によって布教されているキリスト教は未だに勢力がない。

はしがきはこのくらいにして、これから旅行中の見聞を筆に任せて書いてみよう。

最終更新日: 2013-11-14 05:18:48

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